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2026年8月27日

佐川印刷(愛媛県松山市) 地域循環型CO₂削減モデル構築へ 家具や什器の段ボールを活用

 佐川印刷(佐川正純社長、愛媛県松山市)は、愛媛県が公募した「令和8年度愛媛県ゼロカーボン・ビジネスモデル創出事業」に企画提案が採択され、実施事業者に選定された。段ボールを活用した県内循環型のCO₂削減ビジネスモデルの構築に取り組み、地域の脱炭素化とものづくり産業の活性化を目指す。

 同事業では、従来プラスチックやスチールなどで製造されてきた家具・什器・掲示物などを段ボールへ転換し、CO₂排出量の削減を図る。段ボールを梱包用途だけでなく、家具・什器・展示物などへ展開するための企画・設計・試作を行う。同時に、段ボール素材の開発から製造、販売、回収・リサイクルまでを愛媛県内で完結させる循環型ビジネスモデルの実現可能性を実証する。

 同社は、長年培ってきたデザイン、立体設計、デジタル印刷、加工・試作技術を活用。梱包・物流・保管などで利用されてきた段ボールの可能性を広げ「カートン・ファニチャー」などへの用途拡大を目指す。

 段ボールは古紙を原料として再び段ボールへ戻すリサイクルが定着しており、資源循環に適した素材。同社では、これを活用して脱炭素と地域産業の活性化を両立する新たなビジネスモデルの構築を進める。

 同社は2026年4月に「未来を創るためのゼロカーボン宣言」を制定し、「えひめゼロカーボン・チャレンジ企業」の認定を受けた。ISO14001自己適合宣言やグリーンプリンティング工場認定のほか、太陽光発電設備、電気自動車・ハイブリッド車、バイオディーゼル燃料の導入など、環境負荷低減にも継続的に取り組んでいる。

 佐川央晃常務取締役は、「『紙に印刷する会社』から『地域の未来をデザインする会社』へ」との考えを示し、印刷技術や設計力を生かした新規事業として「カートン・ファニチャー」構想を進めてきたと説明。愛媛グローカル・フロンティア・プログラム( EGF)で優秀賞を受賞したビジネスプランを今回、実証できることへの期待を示した。佐川常務は「私たちが目指しているのは、段ボール製品を作ることではなく、『ビジネスモデルの中でCO₂削減につながる仕組み』を地域につくることである。素材の開発から設計、製造、回収、リサイクルまでを県内で循環させることで、脱炭素と地域産業の活性化を両立する新しいビジネスモデルに挑戦する」と話している。

 今後は事業の進捗や成果を公表するとともに、成果報告会や展示・イベントを通じて県内企業への横展開を進める。

2026年8月20日

ナフサ供給不安で自治体に支援の動き 紙など代替素材への転換を後押し

 東情勢の緊迫化によるナフサ高騰や供給不安を背景に、プラスチック容器包装の代替素材への転換を後押しする自治体の支援制度が注目を集めている。紙など非ナフサ由来素材への切替えや、包装自体を減らす販売形態への転換を支援するもので、今後、同様の動きが広がる可能性がある。

 兵庫県は、プラスチック包装の削減を支援する事業を開始した。県内で食料品を包装し提供する小売業者などを対象に、従来のプラスチック容器包装を、紙や木材、生分解性プラスチックなど非ナフサ由来素材へ切り替える際のコスト差額を、上限100万円まで補助する。
 また、量り売り販売への転換に必要な計量器やディスペンサー、レジ、冷蔵ケースなどの導入費についても、補助率2分の1、上限100万円を支援する。受付期間は7月22日から2027年1月29日まで。
 北海道旭川市は、包装資材などの不足や価格高騰に対応するため、市内の中小企業向け支援制度を創設した。単に代替資材を購入する費用ではなく、包装・表示・提供方法や納品形態の見直しを対象とし、資材不足や価格高騰への対応と事業継続を後押しする内容となっている。容器・包装資材の変更に伴うラベルサイズや印刷データの変更、代替資材の試験・確認、新包装に対応する小規模加工機の導入なども支援する。助率4分の3、上限150万円。受付は先着順で、交付申請期間は7月22日から11月30日まで。
 一方、東京都では、ナフサ代替原料を活用した石油由来製品の代替素材開発など、石油に依存しない新たな技術・素材の開発を支援する。事業期間は1~3年度で、3年度事業の場合の上限額は。対象となるのは、バイオマスや廃プラスチックから製造するナフサ代替原料の開発や、石油由来ナフサを原料とするエチレン、プロピレンなどの基礎化学品、ポリエチレンやポリプロピレンなどの素材・製品の代替技術の開発など。提案書受付は9月9日から17日まで。
 また、福岡県でも石油由来プラスチックの使用を減らすことのできる先進的なプラスチック代替製品の開発を支援する補助事業を実施している。
 対象は県内の中小企業で、自ら製品企画・設計を行う者であることなど。採択予定数は年2件。補助率2分の1、上限500万円(年間)まで補助する。補助期間は最長2年間。
 こうした自治体の支援制度は全国的には少ないものの、転換・実用化から研究・技術開発まで広がりを見せている。中東情勢の先行きが不透明な中、資材調達リスクへの備えは企業経営上の重要課題となっており、供給リスク対策と環境対応を両立する自治体の支援策は今後、波及する可能性がある。

2026年8月6日

ペーパーサミットジャパン2026 4,125名が来場 販売も好調、出展者に手ごたえ

 ペーパーサミットジャパン2026(主催・全日本印刷工業組合連合会、日本洋紙板紙卸商業組合)が7月24日・25日に東京・港区の都立産業貿易センター浜松町館3階で開催され、初日が2737人、2日目が1388人、計4125人の来場者で賑わった。印刷加工会社・紙卸商・関連団体の出展があった会場には隙間なく100を超えるブースが並び、来場者への説明やオリジナル商品の販売などに忙しかった。6つのトークセッションもほぼ満員となり、学びの場としても有益な情報を提供した。

 7月24日9時30分から展示室内で行われた開会式には、主催の全印工連から瀬田章弘会長、日紙商から清家義雄理事長、協力した日本製紙連合会の小川恒弘顧問、同時開催された「MUD FAIR 2026」の主催者を代表してメディア・ユニバーサル・デザイン協会の浦久保康裕理事長が登壇した。

 あいさつした瀬田会長は、百万塔陀羅尼やグーテンベルクの活版印刷術など紙にまつわる歴史に触れ、人類が発明した偉大な紙の功績を紹介したあと、「ところがデジタル革命が起こり、どうしてもデジタルの方に注目が行ってしまい、紙がなおざりにされている感じがして残念だ。デジタルの良さもあるが、やはり紙は人々の暮らしを彩り、心を豊かにするもの。これをしっかり社会につなぐのが、紙業界、印刷業界の使命だと思っている。ぜひこの2日間、多くの人に皆さんの思いを伝えていただき、希望ある未来を一緒に拓いていきたい」と述べた。

 10時の開場からほどなく一般の来場者が詰めかけ、午前中から熱気があふれた。多くのブースが展示だけでなく、自社商品の販売を行っており、買物を楽しむ風景が“祭”や“縁日”のムードを醸し出していた。

 出展者も、「予想以上の数に驚いている」「初開催だが大成功と言えるのではないか」「商品の売れ行きがいい」「紙の人気の大きさに気持ちが明るくなる」など、多くが好感触を得ていた。

 今回、主催者側では、メディアへの情報発信や学校への案内に力を入れたほか、後援の東京都、経済産業省、日印産連なども周知に協力した効果が表れたようだ。

 夏休みということもあり、家族づれや友人同士での来場が多く、外国人の姿も見られた。紙製品の魅力に世代や国境は関係ない。入場は無料で、気軽に遊びに来られる雰囲気もある。

  出展内容は、ペーパーサミットジャパンに合わせて新商品を用意した会社、日頃の販売商品を並べた会社、地元でのイベント出展で磨いてきた商品を持ち込んだ会社などさまざま。また、印刷工業組合単位での出展も多かった。複数の会社が連携し、地域の特色を前面に出した取組みが効果的だった。

 24日の夕刻には、小池百合子東京都知事が視察に訪れた。

 会場のつくりは、入場口からまず「紙わざ大賞」(主催・特種東海製紙)の受賞作品コーナーを通り、MUDコンペティションの受賞作品や啓発パネル展示などの「メディア・ユニバーサル・デザイン」のコーナーへ。そこからブース展示に一気に広がる動線だった。日印産連の造本装幀コンクールなどの受賞作品展示のほか、子どもたちを楽しませる「紙のプール」「紙遊び体験」「紙芝居」など、手を動かし、体で感じる広場も人気だった。広場に敷いたのは紙から作られた人工芝。会場のパネル展示の衝立も紙製にするなど、紙一色の設営だった。

 今回のペーパーサミットジャパンは、大阪府印刷工業組合が2022年から開催し、毎年2000人以上の来場者を集める「ペーパーサミット」を下敷きに、その全国版へと発展させた。全印工連では昨年度、「紙育実行委員会」を発足させ、準備を進めてきた。

2026年7月23日

関東甲信越静県印工組 BCP広域連携検討へ 相互支援体制の必要を共有

 関東甲信越静地区印刷協議会(依田訓彦会長)は、7月10日に埼玉県熊谷市で開催した「第73回年次大会 in 埼玉」の理事長会で、大規模災害に備えたBCP(事業継続計画)の広域連携について協議した。南海トラフ地震や富士山噴火などの広域災害を見据え、関東甲信越静10県印刷工業組合による相互支援体制の構築に向け、今後検討を進めていく方針を確認した。

 議論では、南海トラフ地震や富士山噴火への備えの重要性が話題となった。出席した理事長の一人は「富士山噴火は今後必ず起こる災害である。火山灰の影響で東京の印刷産業は大きな打撃を受ける可能性があり、BCPは不可欠ではないか」と危機感を示した。

 首都圏では数センチ程度の降灰でも交通網や物流の機能低下、停電などが発生する恐れがある。印刷工場でも設備停止や資材供給の停滞によって生産活動が大きく制約される可能性があることから、被災地域外の企業が生産を補完できる広域的な相互支援体制の必要性が共有された。

 これに対し、全印工連の瀬田章弘会長は、能登半島地震を契機に石川県印工組と富山県印工組がBCP協定を締結し、災害時の相互支援体制を構築していることを紹介。「災害時は、ある程度近隣で相互に補完できる体制の方が機能しやすい」とした上で、「この取組みを参考に、関東甲信越静10県での広域連携も検討できるのではないか」との考えを示した。

 災害時の情報共有には、全印工連の組合員向け情報プラットフォーム「J-CONNECT」の活用も視野に入れる。同システムは県別や地域別にグループを設定できることから、平時の情報共有に加え、災害発生時には被災状況の把握や支援要請など、組合員同士の連携手段としても活用が期待される。

 また、全印工連では災害発生時の初動体制も整備している。震度5強以上の地震が発生した場合には、本部から直ちに各都道府県印工組へ連絡し、被災状況を確認。概ね翌日までには会長および三役へ報告が集約され、必要に応じて近隣組合との連携や支援活動を迅速に開始できる体制を構築している。

 理事長会では、石川・富山両県印工組の取組みをモデルケースとして、関東甲信越静地区における広域BCPの具体的な連携方法や運用体制について検討を進めていくことを確認した。

2026年7月9日

パラシュート POホットメルト接着剤「PO-Gen2」の販売強化 国内生産で安定供給

 パラシュート(兵藤伊織社長、東京都世田谷区)は、無線綴じ製本向けポリオレフィン系ホットメルト接着剤「PO-Gen2」について国内生産による安定供給体制を確立した。これに伴い、7月1日から国内製本市場に向け特設サイト(https://po-nori.com/)などで販売を強化している。

 PO-Gen2は、市場環境に対応するために開発された製本用ホットメルト接着剤であり、国内生産による安定供給体制と優れた現場適応性を両立している。

 出版市場では初版部数の減少や重版の小ロット化が進み、オンデマンド印刷機を活用した短納期生産が一般化している。その中で製本工程に求められるのは、「短時間で安定稼働できること」「機械停止時のトラブルが少ないこと」「清掃やメンテナンス負荷を抑えられること」「多様な用紙へ安定した接着ができること」など。PO-Gen2はこれらの課題に対応し、デジタル印刷向け製本ラインとの親和性を高めている。

 また、近年は海外調達品を中心に納期遅延や価格変動が発生している。これに対してもPO-Gen2は国内生産体制を採用することで安定供給を実現。常に数トン以上の在庫を確保しており、印刷会社・製本会社にとって重要な「必要な時に確実に入手できる国産接着剤」として、生産計画の安定化に貢献する。

 製本業界ではEVAホットメルト、PURホットメルト、POホットメルトが用途に応じて使い分けられている。

 PURは高い接着性能を持つ一方で設備投資や運用コストが課題となるケースがある。

コストと品質のバランスを追求する製品

 PO-Gen2は、「EVA糊より消費量を抑えられる」「炭化しにくい」「糸引きが少ない」「清掃負荷を軽減できる」「ニオイがない」といった特長を備えており、現場オペレータからも高い評価を得ている。既存設備を活用しながら高い接着性能と作業性を実現することで、コストと品質のバランスを重視する印刷会社・製本会社の選択肢となる。

 特に少人数運営の印刷会社や製本会社では、機械メンテナンス時間の削減が生産性向上に直結するため、「現場で使いやすい接着剤」であることが大きなメリットとなる。

 また、昨今のEVAホットメルトの価格高騰により、POホットメルト価格帯と近づいてきたため、ユーザーの手が届きやすい商品となってきている。

 同社では、単に接着性能だけでなく、日常運用のしやすさを重視して製品の選定・供給を行っている。